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美しさと旨さが同居する山口の秘宝 東洋美人
🍶 Sake 2026年4月16日 クロフク編集長

美しさと旨さが同居する山口の秘宝
東洋美人

こんにちは、クロフク編集長です。今回は山口県萩市の小さな蔵元が醸す日本酒、「東洋美人」をご紹介します。この名前を聞いたとき、僕はいつも少しせつない気持ちになるんです。初代当主が亡き妻への想いを込めてつけた名だと知ってから、ずっとそうです。

蔵元は株式会社澄川酒造場。4代目当主の澄川宜史氏が蔵元杜氏として酒造りのすべてを担い、全国から注目を集める銘柄へと育て上げました。特に、高木酒造(十四代)の当主から受けた影響は大きく、澄川氏自身も「あの姿勢に学んだ」と語っています。

この蔵には、語り継がれるべき物語があります。2013年7月、山口県を襲った集中豪雨で田万川が氾濫し、蔵は壊滅的な打撃を受けました。機械類が水没し、出荷を待っていた約1万本の東洋美人が濁流に流されたのです。しかし翌月から全国のファンや酒販店が駆けつけ、延べ1,500人以上が復旧作業を支えました。その熱量が、今もこの蔵の酒に宿っていると、僕は信じています。

わずか5か月後、東洋美人は再び蔵に香りを取り戻しました。今回は、そんな澄川酒造場の意地と美意識が凝縮した720mlを5本、厳選してお届けします。

① 東洋美人 純米大吟醸 一番纏 720ml
東洋美人 純米大吟醸 一番纏 720ml

東洋美人の顔ともいえる看板商品です。「壱番纏」の名は、江戸の火消しが誇りをかけて守った纏(まとい)に由来します。蔵の顔として最前線に立ち続けるこの酒は、精米歩合50%の純米大吟醸として丁寧に仕上げられ、澄川酒造場の技術と美学をそのままボトルに詰めたような存在です。

口に含んだ瞬間、白桃や梨を思わせる華やかな吟醸香が広がります。甘みはしなやかで、べたつかず、ゆっくりとほどけるように喉を通っていく。このきれいさが、東洋美人の本質だと思います。余韻に淡いミネラル感が漂い、飲み干した後もしばらく口の中に幸福が残ります。

日本酒をあまり飲んだことがない方にも、ぜひ最初の一本として手に取っていただきたいです。ひと口飲めば、日本酒に対するイメージが変わるはずです。冷やしてそのまま、あるいは薄造りの白身魚と合わせると、互いの繊細さが際立ちます。

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② 東洋美人 純米大吟醸 播州愛山 特吟 720ml
東洋美人 純米大吟醸 播州愛山 特吟 720ml

播州愛山は、兵庫県で栽培される幻ともいわれる希少な酒造好適米です。山田錦の系譜に連なりながら、独自の甘みとコクを持つこの米を、澄川酒造場が純米大吟醸として仕立てました。栽培の難しさゆえに生産量が限られており、使える蔵元も限られています。

その味わいは、豊かでふくよかな甘みが骨格をなし、一番纏とは異なる奥行きを持ちます。蜜のような甘さの後に、きりりとした酸が顔を出し、複雑でありながら、どこか温かい印象を残します。冬の夜、少し温めた肴とともに静かに向き合いたい一本です。

「せっかくなら特別な酒米で醸した東洋美人を飲みたい」という方に、自信を持ってお勧めします。ギフトとしても喜ばれる格調があり、特別な日の食卓を飾るのにふさわしい存在です。

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③ 東洋美人 純米吟醸 醇道一途 羽州誉 720ml
東洋美人 純米吟醸 醇道一途 羽州誉 720ml

「醇道一途」シリーズは、東洋美人が特定の酒米の個性を引き出すことに集中した純米吟醸のラインナップです。この羽州誉は、山形の高木酒造が10年以上の歳月をかけて研究・開発した酒米で、十四代ファンにとっても馴染み深い名前でしょう。二つの蔵が共鳴し合うような、不思議な縁を感じます。

羽州誉由来のみずみずしい米の甘みが前に出つつ、澄川酒造場らしい端正な仕上がりで清潔感があります。酒米の個性と蔵の個性が交差する、この一本だけにしかない表情がそこにあります。シリーズの中でもとりわけ口当たりが柔らかく、温度変化による味の変化も楽しめます。

日本酒好きの仲間と集まる席に持ち込むと、話が弾みます。「どこの米?」「十四代と同じ米なの?」という会話が自然と生まれるからです。飲み比べを楽しみながら、酒の背景まで語り合えるのがこの一本の醍醐味です。

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④ 東洋美人 純米吟醸 醇道一途 西都の雫 720ml
東洋美人 純米吟醸 醇道一途 西都の雫 720ml

西都の雫は宮崎県産の酒造好適米で、温暖な土地が育てた米らしい、ふくらみのある甘みが特徴です。山口の蔵が九州の米を醸すという、地理的な距離を超えた協働が、このボトルには詰まっています。醇道一途シリーズの中でも、個性がもっとも際立つ一本といえます。

飲んでみると、白い花のような香りに続いて、南国の果実を思わせる甘みとジューシーさが広がります。どこか明るく、開放的な雰囲気があり、東洋美人の他のラインナップとは少し異なる表情を見せてくれます。冷やして飲むと、そのフレッシュさが際立ちます。

お酒を肩肘張らずに楽しみたい夜にぴったりです。軽めのおつまみや、野菜を使った料理とも相性がよく、季節を問わず食卓に溶け込んでくれます。東洋美人の新たな魅力を発見したい方にお勧めします。

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⑤ 東洋美人 純米吟醸 大辛口 720ml
東洋美人 純米吟醸 大辛口 720ml

これまでご紹介してきた華やかな純米大吟醸や個性派純米吟醸とは対極に位置する、辛口スタイルの一本です。日本酒度が高く、すっきりとキレのある後味が印象的。「東洋美人といえば華やか系でしょ」と思っている方に、ぜひ飲んでほしい裏の顔です。

口に入れた瞬間は淡麗で潔く、余分なものが何もない。米の旨みがシャープにまとまり、切れ味の中に静かな深みがあるのがこの酒の魅力です。飲み飽きしないので、長い夜の食中酒として傍らに置くにはこれ以上ない一本です。

焼き魚、煮物、塩辛など、和食の定番おかずとの相性が抜群です。お酒に強い方や、日本酒を毎日の晩酌に取り入れている方には、日常使いの頼れる一本として重宝していただけるはずです。手頃に楽しめる東洋美人として、揃えておきたい一本です。

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最後に

初代当主が亡き妻に捧げた名前を持つ酒が、100年以上の時を越えて今もこうして僕たちの手元に届いている。水害を乗り越えた蔵が、1,500人の想いを受け取って再び酒を醸している。そういうことを知ってから飲むと、ただおいしいだけじゃない何かが、グラスの中に感じられるんです。

東洋美人は、一本一本に物語があります。ぜひ今夜、お気に入りの一本を見つけてみてください。きっと、山口の小さな蔵が届ける「美」に、あなたも心を動かされるはずです。

クロフク編集長
EDITOR-IN-CHIEF
酒販業界に5年。営業・EC運営を通じて1000本以上のお酒と向き合ってきた経験から、本当においしい一本だけをご紹介します。
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